久々にお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第38弾は木村さんのビギナーズ体験です。
これからは、青春九月党のメンバーの体験談が続きます。
木村さんは18期(2011年)のビギナーズ受講生で、
山崎彬さん(悪い芝居)演出の青春九月党公演
「贋作・罪と罰」(野田秀樹作)に役者として出演されました。
ビギナーズユニットのことを思い出すと泣きそうになります。
いつだって泣きそうになります。
19の春、とてもくだらない恋愛を立て続けにしてしまい(後悔はしないと決めたけれど)、
夏は骨折するわ親が離婚するわで散々でした。
秋と冬はわりと良い恋愛をしていたのだけれど、
20歳になった3月のある日、大きな地震が東の方を襲って、
その4日後に祖母が死んで、恋人とも別れてしまって、
大好きな映画鑑賞は「不謹慎」だとか言われるし、
誰にも涙も見せられなくて、わたしはあの頃、なんだかスキマだらけでした。
そんなときたまたま見つけたのがビギナーズの募集チラシで、
演劇をやろうなんてそれまで考えたこともなかったわたしは初めて、あ、と思いました。
演劇をやれば、こんなガッスガスなわたしでも、
なにかを創りだすことができるんじゃないかと思いました。
だれかと一緒に演劇をやれば、すっごいものが創れるかもしれないと思いました。
全然しらないだれかと演劇をやるなんてスリリングだけれど、
もしかしたらすごく仲良くなれるかもしれないと思いました。
面白そうだと思いました。
抽選に通ったという電話が来たときは飛びあがって喜びました。
しかしビギナーズは、決して「楽しい」だけの企画ではありませんでした。
初対面同士の演劇初心者たちと、2、3ヶ月やそこらで作品を創って、
それを上演するということ、それはやっぱりやさしいことではないです。
あんなにも他人の心が見えたらと願った日々はなかったし、
自分の不甲斐なさには徹底的に苦しめられました。
でも講師の皆さんと演出部の方々に鍛えられたあの20歳の春と夏は、
前の年とは比べものにならない濃さと熱さでした。
とくに本番前の1週間は思い出深いです。
これについては長くなるので、いつかえらい方の許可が下りたら書こうと思います。
結局、わたしたちが創ったあの「贋作・罪と罰」は、すっごいやつだったのでしょうか。
台風が来て、文字通り嵐を呼ぶ公演になったことは確かです。
わたしはいちお客さんとして、あの芝居を見たかったです。
メンバーとは今も連絡を取ってたびたび遊んでいます。
年齢も生まれ育ちも関係なく、一度一緒にとことん演劇をやったみんなとは、
これからも仲間としてつながってゆくだろうと思っています。
わたしはあの3月の頃の何倍も何倍も潤った日々を送っていますが、
ガッスガスの気持ちはずっと持ち続けて行こうと思います。
もっとすっごいものを創ろうと思います。
木村けい
2013年02月22日
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