たくさんのご来場、ありがとうございました。
年始早々、おめでたい? 打ち明け話を1つ。
昨年の演劇ビギナーズユニットの修了公演。
上演されたのは、鈴江俊郎さん作の「湖のまるいほし」。
演出をお願いしたのが、WANDERING PARTYのあごうさん。
「トータル・エクリプス」はワンパの最高傑作の1つに数えられるでしょうが、
あの戯曲のリズム感を生んだ一因が、実は鈴江さんの戯曲にあったと言ったら、
驚かれるだろうか。
あごうさんが鈴江さんの戯曲を演出したくらいで
いったい何が変ると言うのか、と思われるかもしれないが、
そこはやはり同じ劇作家同士。
目の付け所が違うのである。
台詞運びの間や呼吸の違いを体感的に感じることで、
何かが閃いたのかもしれない。
答えは、鈴江さんの戯曲の内容というよりは、書き方にあった。
あまり詳しく書いてしまうと、劇作家の方々から
営業妨害だと言われかねないので少し遠慮しておくことにするが、
平たく言えば、ワードの書式設定の問題なのである。
鈴江さんはワードで戯曲を書く際、どういう書式設定にしているか。
「トータル・エクリプス」の特徴は横滑り方式の場転の多用だと思うが、
あごうさん曰く、あのやり方は学生時代にすでにやっていたという。
しかし、戯曲のリズム感を生むため、意識的に使われた今回の手法には
数段及ばなかったに違いない。
「トータル・エクリプス」で採用された横滑り方式の場転の多様の意味は、
私の中ではMONOに通じるものがあると思われるほどの
一大事なのである。
あの手法を可能にするのは、1人多役と、ある登場人物を
何人もの役者で交替で演ずるという配役の仕方にある。
そうでないと、そのままの登場人物で
ある台詞をきっかっけに場転するなどということは不可能だ。
しかも、直接関係のないシーン毎のエピソードにアナロジーの要素を加え、
それらをストーリー展開のヒントにまでしてしまおうという試み。
この複雑さ故、矛盾が生じてくることもあるが、
そのズレで笑いを誘うような構成になっている。
「なんやピー子、部長とえらい親しそうに話するな。」、「弟やもん。」
「ちょっと永井さん、相手高校生ですよ。」
お後がよろしいようで。(N)


