2019年04月08日

坂口さんのビギナーズ体験(S47)

ずいぶんとご無沙汰しています。
1年4か月ぶりくらいにお届けする、
【特集】Beginners' Unit Revisited!。
47弾は坂口さんのビギナーズ体験談です。
坂口さんは23期(2016年)のビギナーズ受講生で、
村上慎太郎さん(夕暮れ社 弱男ユニット)演出の、
劇団虹差点公演「夏休み」(内藤裕敬作)に
役者として出演されました。


あの頃の自分と今の自分はどう違うか、振り返る時間があります。
振り返る”あの頃”というのは、いくつかありますが、
ビギナーズの頃の自分を振り返ることは特に多いように感じます。

先日、縁あって、ビギナーズぶりにパンダ(大熊ねこ)さんの
ワークショップを受けました。あの時と同じワークをしました。
周りにいる人や場所はまったく違いましたが、
ビギナーズを思いだし、あの時の自分を思い出し、
なんだかじんわりしてしまいました。

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ビギナーズに参加して2年が経ちました。
今年の5月で3年になります。わたしにとって、
やっと“あの頃”がじんわりじんわりあったかく
思い出せるものになりました。

ビギナーズ終了間際、1年後、2年後、その時々によって、
あの頃の自分に対する感想や浮かぶ感情が違いました。
間際や1年後は後悔や感謝やらで、
感想感情のアップダウンがはげしく、
色鮮やかでにぎやかだったように思います。

最近になってです。やっと、落ち着いて
あの時の自分を見れるようになりました。
冷静に思い出せるようになるまで2年。
あの頃の自分を認めてあげられるようになるまで2年。

それほど、濃密な時間だったみたいです。

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posted by ひがせい at 19:14| Comment(0) | 【特集】BU Revisited!(演劇体験談) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月21日

やぎのビギナーズ体験(S46)

かなりお久しぶりになりましたが、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第46弾は柳沼さんのビギナーズ体験談です。
柳沼さんは23期(2016年)のビギナーズ受講生で、
村上慎太郎さん(夕暮れ社 弱男ユニット)演出の、
劇団虹差点公演「夏休み」(内藤裕敬作)に
役者として出演されました。


わたしは高校生の時初めて演劇をしました。
理由は、キラキラした人になりたかったから、です。
大好きな舞台がありました。何百回も何千回もDVDを見返して、
セリフも歌もダンスもほとんど覚えて、
もはや一種の病気じゃないかと思うくらい好きな舞台が。
その舞台に立つ役者さんたちが、とてもキラキラ輝いて見えました。
彼らに毎日頑張る活力をもらっていました。そんなキラキラした、
人に元気を与えられるような人になりたかったのです。
そうして高校は演劇部に入部して、脚本を書かせてもらったり
男役に挑戦したり、とても楽しい経験でした。
でも多分、わたしの理想としたキラキラした人、
にはなってなかったんじゃないかなと思います。

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ビギナーズユニットに参加する前からそのように
演劇部に入ってはいましたが、舞台を一から作って
一日中稽古をして…みたいな舞台は実はしたことがなく、
参加してからは初めての経験ばかりでした。
それこそ新しいことを吸収しようと夢中で、
そしてそれ以上に楽しい日々でした。
それが自分の中で変わったと思ったのは、
キャスト決めの面談の時に演出の村上さんに言われた
「やぎが殻を破るところが見たい」という一言でした。
その時私はとにかく今目の前にあることをこなそう
ということしか考えていなくて、
自分自身の変化にはなんの関心も示していませんでした。
それはある意味自分の本来の目標を見失ってたんじゃないかな、
と今は思います。
当時は「私の殻とは?」という疑問に苛まれました。
殻が多すぎて。役柄的にも人間的にも。どこから破れば良いのかと。
自分自身と向き合おう、と最初に思ったのはその時でした。

結論を言うと、私はビギナーズユニットに参加したことで
自分という人間が何か変わったとは思えませんでした。
変わった、と言われましたが、全く自覚がありませんでした。
今までやったことのないような役をしました。
舞台の上の記憶がないほどにお芝居に熱中しました。
保守的だった向き合い方を少し積極的にしてみました。
やってみたこと、今まで感じたことのないことは沢山ありました。
けれど人間性が変わったか、成長したかと言われると分かりません。
そのかわり、ひとつだけ理解したことがありました。
「私は私自身の心を上澄みしか見れていない」ということです。
そりゃ何にも変わりません。そもそも自分を理解していないので。
けれどだからといってビギナーズユニットでの経験が
失敗だったわけでは決してありません。
そう「気づけた」ことが大切なのだと、
ビギナーズユニットは教えてくれました。
そのことに気づけて、さてこれからどうしようか、
とりあえず自分の心を少し深いところを理解してみようかと考えられたことが、
キラキラした人への第一歩になったのではないかと思っています。

                              柳沼 萌生

posted by ひがせい at 14:20| Comment(0) | 【特集】BU Revisited!(演劇体験談) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月25日

サキのビギナーズ体験(S45)

続けてお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第45弾は宮前さんのビギナーズ体験談です。
宮前さんは21期(2014年)のビギナーズ受講生で、
村上慎太郎さん(夕暮れ社 弱男ユニット)演出の、
劇団サイハテ公演「ナツヤスミ語辞典」(成井豊作)に
役者として出演されました。

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私がビギナーズユニットを始めようと思った理由は、実に正に失恋だった。

好きだった人が好きなように、生きている人だった。
私はその人と出会うまで、このくらいの年齢だったら
こんな社会的な位置で、このくらいお金を持っていて・・・、
そんな体裁ばかり頭の上から下までベールで覆われて生きていた。
だけど、彼と出会って、夢を追ってまわりは関係ないことを知った。

私は高校生のときに演劇部員だった。
その部活は部員人数も少ないこともあったか、
もっとこんな風にしたらいいんじゃないかという意見を自由に言えた。
そしてその意見を誰も拒否せず、受け容れてくれた。
それが本当に嬉しくて、楽しかった。
芸術に正解不正確が無いことを知れたし、
何も無いところからみんなで形創ることが楽しくて仕方なかった。

いつかまた演劇ができたら・・・。
私も自由に好きなことして生きたい・・・。

そんなことを思っていた矢先のビギナーズユニットだった。
連絡した際にはスタッフの方が去年申し込みをしていた
私の名前を覚えてくれていたこと、
急なキャンセルが出て欠員になっていたので、
申し込めばすぐに参加が決定したことも
始まる前からちょっと運命を感じていた。

初回。私は社会人で、遅刻して行った。
遅刻してちょっと気が動転していたところもあったせいか、
とっても明るく私らしく自己紹介できた。
あとでその印象が強烈で、覚えていてくれている子がいて、私に教えてくれた。
「自分を出す能力すごいな。壁無さすぎ。オープン。この人すごいな」
そう思ってくれたらしい。

ワークショップが始まると、「私がしたかったんはこれやな」と思えた。
演劇のワークショップで特に楽しかったのは、
身体で表現するワークショップだった。
みんなで一つのものを造形していく過程はみんなの個性も見れて楽しかった。
一番笑っていたように思う。

後半から、芝居の稽古。大変だった。
自分と同じシーンの人と合わせて練習するにも
お互いに都合で合わなかったり、このシーンが出来てないから、
自分がしたいシーンより優先して他の子のシーンをしたり・・・。
これがチームワークというか、集団なのかな、と学んだ。
All for one この学びは結構大きかったかなと思う。
自分勝手な自分に気づいた。

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2015年10月10日

シラのビギナーズ体験(S44)

続けてお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第44弾は白石さんのビギナーズ体験談です。
白石さんは21期(2014年)のビギナーズ受講生で、
村上慎太郎さん(夕暮れ社 弱男ユニット)演出の、
劇団サイハテ公演「ナツヤスミ語辞典」(成井豊作)に
役者として出演されました。

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僕が演劇ビギナーズユニットを始めたのは、京都にいる間に何かしたい!
という思いがあったからでした。
半年だけ京都の大学で学ぶ、そんな制度を使って京都にやってきた僕は
当初、知り合いがほとんどいませんでした。
そのせいもあってか、気づけばただ大学の授業を受けるだけの
日々になっていて、どうにかしてそれを変えたい
という気持ちが強くありました。
そんな頃にビギナーズを知りました。
初めての演劇に抵抗感がなかったかといえば嘘になります。
参加するか相当悩みました。
でも最後には、せっかく京都に来ているのだから
何でもやってみようと思い直して参加を決意しました。

そこで出会った「劇団サイハテ」メンバーの存在は、
今でも京都を訪れる理由になるほどに、大きなものでした。
始めはよそよそしかったメンバーとの関係は、
一緒にワークショップや自主練習をしていくなかで
徐々に親しくなっていきました。
なかでも、いつの間にか今まで見せたことのない自分を
さらけ出せるようになったことは驚きでした。
なんというか、恥ずかしさがなくなったというか・・・。
劇中のとある場面の影響もあったとは思いますが、
色んな意味で「はっちゃけられた」ことは忘れられません。
演劇を通したからこそ、ここまでできたのだと思います。
そんな姿を見せられるくらいに打ち解けられたことは、
とても貴重なことでした。
公演が終わって、京都を去る時は本当にさみしかったです。
素の(?)自分を見せられるめったにないメンバーたちとの別れは
とてもつらいものがありました。
それだけあの三ヶ月間は充実していたのだと思います。

帰ってからは、演劇を見る目が変わったことに気がつきました。
まず、前よりもお芝居の宣伝に目がいきやすくなりました。
ビギナーズを通して、どういう風にお芝居ができていくのが分かったために、
親近感のようなものがわくようになりました。
だからついチラシもじっと見てしまう。
そして、お芝居を観る機会が増えました。
偶然にも帰ってから演劇をしている友達ができたため、
その公演や、ビギナーズでお世話になった方たちの公演など、
月に1回くらいのペースでお芝居を観るようになりました。
今までほとんど観に行かなかったことと比べると、
ずいぶん変わったなと感じます。

今や「京都=演劇」のようなイメージを作り上げてくれた
演劇ビギナーズユニットは忘れられない夏の、そして京都の、思い出です。

                              白石 圭佑

2015年09月30日

マスターのビギナーズ体験(S43)

一々昨日に続けてお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第43弾は岩佐さんのビギナーズ体験談です。
岩佐さんは21期(2014年)のビギナーズ受講生で、
村上慎太郎さん(夕暮れ社 弱男ユニット)演出の、
劇団サイハテ公演「ナツヤスミ語辞典」(成井豊作)に
役者として出演されました。

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僕がBU(演劇ビギナーズユニット)をやるようになったきっかけは
「いつもの大学生活とは一味違って、何か得られるのではないか」と
(半ば強制的に)誘ってくれた、友人の言葉でした。
やると決めたものの、僕は動くまでのスイッチがとても遅いため
最初はしぶしぶ始めたのが本当のところです。
しかし集まっていくにつれメンバーとも親しくなり、
久しぶりに演劇の楽しさも味わう余裕すら出てきました。

ちょうど練習&公演した時期が夏休みだったのと
公演作品が「ナツヤスミ語辞典」というのもあって、
個人的にとても印象深い夏でした。
劇中の登場人物よろしく、僕自身も童心にかえってナツヤスミを、
仲間たちと演劇という「ナマモノの芸術」作りを堪能しました。
目の前で舞台や小道具が完成されていき、
目の前で演技の質や連帯感がどんどん上がっていく。

正に、演劇の醍醐味ここにあり!

ワンマン体制で物を作る事が多く、
集団製作などがあまり得意ではない僕ですが、
このBUの経験は例外でした。
それは何故かなぁと、今でも思う時があります。
諸々の要因が考えられますが、
やはり一番の理由は「短い期間の中で無我夢中に、
何人もの人間が一つの花火(演劇)を作り、
そしてそれをド派手に打ち上げたから」だと思います。

夏休みの終わりとほぼ同時に、BUの集まりも終わりました。
僕はいつの間にか、劇団サイハテ(21期のユニット名)の皆を
まるで家族のように思っていたため、BUが終わった後の時間の
寂しさといったらありませんでした。
祭りが終わった後の喪失感にも似たような、
ポッカリと穴が空いたような、何とも言えない時間。
それだけ密度の濃い時間を過ごしていたのです。

楽しい時間、悩んだ時間、創造的な時間、終わった後の時間。
全てを引っ括めて、BUは特殊な時間でした。

あの夏休みの事は、強烈な思い出として
これからも思い返すのだと思います。

                         岩佐 悠毅

2013年10月14日

竹中さんのビギナーズ体験(S41)

一番ホット(9月1日に公演を終えたばかり)なビギナーズ体験談は、
竹中さんのビギナーズ体験談をお届けします。
竹中さんは20期(2013年)のビギナーズ受講生で、
田辺剛さん(下鴨車窓)演出の、ばんびステップ公演
「贋作・桜の森の満開の下」(野田秀樹作)に役者として出演されました。

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振り返ってみて思ったことですけど、
僕がビギナーズユニットに応募した時、
人任せな期待を持っていました。
メンバーのみんなが僕を引っ張り上げてくれるって。
その上、自分についても、「きっと成長してくれる」
なんて他人事な考えを持っていました。
なんか薄くて浮ついていました。自覚せずに。
僕が経験した3ヶ月、特に最後の1ヶ月は、
その浮ついたものを、ちゃんと地に足を付けさせてくれました。
今では、僕は人任せな期待を求めるようなことは
無くなったように思います。
上手く言えないんですが、それまでよりもっと、
自分のためにと言うか、我がままと言うか、
より自分に密着したものを、今は求めています。
ことばだけだと、自己中になっただけのようですが、
僕はこうなったおかげで、より人に
近づけるようになったと思うんです。
今までの僕は、自分も含めて、
誰も求めてないことを期待してたんだなって。実は。
これはビギナーズじゃなきゃ、きっと気づけませんでした。
ありがとうビギナーズ。ありがとうメンバーたち。
みんなに向き合うことができて本当によかった。

                             竹中 健二


2013年09月20日

橋岡さんのビギナーズ体験(S40)

ニモさんに続いてお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第40弾は橋岡さんのビギナーズ体験です。
橋岡さんは18期(2011年)のビギナーズ受講生で、
山崎彬さん(悪い芝居)演出の青春九月党公演
「贋作・罪と罰」(野田秀樹作)に役者として出演されました。

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あの夏、私にあるのは情熱だけでした。
経験も才能も知識もなく、もともと話をまとめられず口下手な私。
今までと違い、年齢も経歴も考え方も違い、
様々なバックグラウンドを持つ人々が同じラインにたって、
仲間になる。作品製作の過程で、小さな衝突を繰り返したり、
気まずくなったり、時には涙を流したり・・・
楽しい思い出ばかりではないけど、今思えば、それらは全て必要でした。
当時は何とかしなくちゃなんて焦っていたけど、
ちゃんとぶつかり合えたからあの公演があった、と思っています。
練習が本格的に始まると、全てが初めてで、
どれほどの熱情がフツウなのかも分からなくて、
とにかく自分の持てるもの全てをと一生懸命でした。
もてる時間と集中力は全て使い切りました。
講師や演出の方に、いちから鍛えてもらい、
本番はもうギリギリの状態で、記憶がないくらいです。
同じ経験を共有してくれた人達もお互いを認め合いました。
こんな経験が他のどこで出来るでしょう。
私は初めてでしたし、未だこれ以上のものに出会えていません。
何を学んだか? それはそれはたくさんありますが、
あえてひとつ挙げるなら、0になる、ことです。
自分ひとりでは何もできない。0であることを認めることで、
全てを受け入れ、たくさんの人と共同して構築していくことが出来たのだし、
ビギナーズはそのような可能性を秘めているのだと思います。
あの夏私は一度、憑き物全てを捨てて0になり、
1から人と話し、作品をつくりあげました。
最終的には数字では表せないものになりました。
これからもビギナーズユニットが結成され続けることを祈っています。

                                     橋岡七海

2013年09月12日

ニモさんのビギナーズ体験(S39)

久々にお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第39弾は新本さんのビギナーズ体験です。
新本さんは18期(2011年)のビギナーズ受講生で、
山崎彬さん(悪い芝居)演出の青春九月党公演
「贋作・罪と罰」(野田秀樹作)に役者として出演されました。

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理由は一つではないけれど、ワークショップ受講の応募に
踏み切った当時の自分は、人生の変化点を探していた、
というより意図的に作ろうとしていたように思います。
参加が決まった時にはあまり不安はなく、
むしろ自信(何の根拠もないけれど
器用さはあると思っていたので)があった位でした。
でも実際にワークショップが始まってみると
思っていたようにはいきませんでした。
例えるなら、利き手と反対の手で文字を書いているような。
ぎこちなさ、妙な歯がゆさを感じつつ、脳みその
普段使っている部分とは全く別の部分が作動していたように思います。
回を追う毎に、他の受講生の様々な表情を発見する度に、
自分の力量不足を実感しながら
置いてけぼりをくわないよう必死でした。

一つ書くとすれば、僕は与えられた配役が
台詞も出番も少なくて意気消沈していたのですが、
そんな中、制作というスタッフワークに自分の役目を見出して
積極的に参加したという話。
これは半ば美談になって語られることがあります。
それは事実なのですが、そうするしか自分の居場所が見つけられなかった、
自分を納得させられなかった、という意味合いが強いように思います。
希望した役ができると思っていたこともあり
(先にも書きましたが根拠のない自信があったので)、
配役発表の日には本当に落ち込みました。
その日の帰りに公園のブランコに揺られながら
メンバーの一人に愚痴を聞いてもらったことをよく覚えています。

僕は今も演劇のワークショップに参加したり、
たまに舞台に立たせてもらったりしているわけですが、
もしかしたらビギナーズでの配役の悔しさが
今の活動の大きな原動力になっているのかもしれません。

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2013年02月22日

木村さんのビギナーズ体験(S38)

久々にお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第38弾は木村さんのビギナーズ体験です。
これからは、青春九月党のメンバーの体験談が続きます。
木村さんは18期(2011年)のビギナーズ受講生で、
山崎彬さん(悪い芝居)演出の青春九月党公演
「贋作・罪と罰」(野田秀樹作)に役者として出演されました。


ビギナーズユニットのことを思い出すと泣きそうになります。
いつだって泣きそうになります。

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19の春、とてもくだらない恋愛を立て続けにしてしまい(後悔はしないと決めたけれど)、
夏は骨折するわ親が離婚するわで散々でした。
秋と冬はわりと良い恋愛をしていたのだけれど、
20歳になった3月のある日、大きな地震が東の方を襲って、
その4日後に祖母が死んで、恋人とも別れてしまって、
大好きな映画鑑賞は「不謹慎」だとか言われるし、
誰にも涙も見せられなくて、わたしはあの頃、なんだかスキマだらけでした。
そんなときたまたま見つけたのがビギナーズの募集チラシで、
演劇をやろうなんてそれまで考えたこともなかったわたしは初めて、あ、と思いました。
演劇をやれば、こんなガッスガスなわたしでも、
なにかを創りだすことができるんじゃないかと思いました。
だれかと一緒に演劇をやれば、すっごいものが創れるかもしれないと思いました。
全然しらないだれかと演劇をやるなんてスリリングだけれど、
もしかしたらすごく仲良くなれるかもしれないと思いました。
面白そうだと思いました。
抽選に通ったという電話が来たときは飛びあがって喜びました。

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2012年02月13日

谷井さんのビギナーズ体験(S37)

田村さん引き続いてお届けする
【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第37弾は谷井さんのビギナーズ体験です。
谷井さんは17期(2010年)のビギナーズ受講生で、
山崎彬さん(悪い芝居)演出の劇団十七番公演
「ヘブンズサイン」(松尾スズキ作)に役者として出演されました。


「役者」として舞台上に立ってみようということだけで、応募した。
経験はないし、機会はないし、他に方法はない。
そんな時、勢いで電話した。
いろんな人がいた。頭のよい人、面白い人、
踊る人、歌う人、天然な人、若い人。
自分自身の個性のなさに辟易しながらも、毎日が刺激だらけだった。
もちろん毎日楽しいのだけど、芝居というものは難しい。
何もかも違うメンバーが、短い期間で「作品」
と呼べるものを作らねばならないのだから。
当然、うまくいくはずはなかった。
それぞれに「理想」とする形があり、
それを完全に擦り合わせる事はまず無理だ。
台本選びでも、日々の稽古でも、一緒にご飯を食べている時でも、
この芝居をどうしたいか? どんな稽古をしなければならないか?
と何度も話し合いをした。

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私は今まで人とぶつかる事を尋常じゃない程に嫌がってきた。
この性格は今でも治らない。
だから、思っていることを口に出すことを抑えて、
「それなり」にしてしまうことがある。
このやり方であれば、すごく楽に生きていける。
そうした術は勝手に身について離れなくなっていた。
ただ、ビギナーズユニットのおかげで少しは
「他人の事を理解し、その上で意見する」ということが
できるようになったのではないかと思う。
芝居は嘘を上手くつくことが重要だと思っていた。
だから、自分にも合っていると思ったし、根拠のない自信があった。
芝居なんて簡単だと思っていた。
ただ、いい役者というのはセリフや佇まいが完全に
「落とし込まれている状態にある」と演出の方は教えてくれた。
この状態になる為には、一緒に芝居をする人のことも頭に入れ、
自分の存在の仕方を考えておく必要がある。
周りと協調した上での自分、というものを必死で考えた。
今、私は社会に出て仕事をしている。
相変わらず人とぶつかることを避け、
「それなりに」仕事を済まそうとしている時もある。
仕事も演劇も同じで、一人では完遂させられない。
周りを敬い理解し、自分があるということを知っておかねばならない。
大勢のお客様から拍手を頂き、感動で震えたあの本番から、
少しはいい人間に成長していると信じている。

                                      谷井佳輔

2012年01月28日

田村さんのビギナーズ体験(S36の2)

昨日に引き続き、田村さんのビギナーズ体験談(後半)を
お届けします。


その後、ユニット名を決めたけどこれは意外と楽しい。
0の状態でアホみたいな名前とか出し合って決めるからかな?
そしてスタッフが決まり、配役がとうとう決まり稽古がスタート。

ここからの苦労は自主練に来れる人、来れない人との差みたいな表面的な事。
それとやっぱり台本決めの時に言いたい事を言えてないってとこでした。
表面的な部分はいろいろ事情もあるし、多少仕方ない。
でも何とかしよーよ、って思う人もいて、でも言えない。
理解して譲歩して、それでもやっぱ我慢できない!
みたいな事を相手になかなか伝えられなかったな、と今でも反省・・・。
でもやっぱりそれを打破するのも自分。
ダイレクトに言うのはなぁ・・・という事は
他の人に相談したりしながら少しずつ解決していきました。

振り返っても、すごいぶつかり合いはやっぱり最後まで無くて、
でも公演初日までの期間と本番始まってからのたった三日間では
腹の割り方が違った気がします。
上手くは言えないけど、みんなエンジンのかかりが悪いみたいな。
これ読んでる十七番メンバーは『んな事ないわ!』
って言うかもしれないけどそんな気がします。
現に私がそうだったから。
でも悪い意味ではなく、『同じ匂い』がしたから思った事です。

私の性格は、終わりよければ全てよし!なのですが、
ビギナーズユニットに参加してプロセスもしっかり積み上げて
終わりを良くする様に・・・という考えができました。
また、実は仕事でこの三ヶ月してきた事が発揮されています。
仕事ではまず『目的』をきちんと整理するところから話す必要もあるし、
それに対しての『目標設定』もしっかり合意を得て決めていく。
演劇ビギナーズユニットは、コミュニケーションスキルを向上させたい人に
演劇というツールを使って行う講座です。

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2012年01月27日

田村さんのビギナーズ体験(S36の1)

久々どころではない、15か月ぶりくらいにお届けする
【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第36弾は田村さんのビギナーズ体験です。
田村さんは17期(2010年)のビギナーズ受講生で、
山崎彬さん(悪い芝居)演出の劇団十七番公演
「ヘブンズサイン」(松尾スズキ作)に役者として出演されました。


私がビギナーズユニットに応募したきっかけはを感じたから。

もうかれこれ10年くらい前まで高校演劇に明け暮れて、
卒業後も演劇を続けるかどうかという時に
いろんな事情で結果的に演劇から離れてしまった。

そんな2年前の2010年4月に、『縁』を感じて応募しました。
私の感じた『縁』は本物で(笑)、みごと参加する事ができました。
結構な倍率と聞いて後からびっくり!
最初の説明会で、演劇というツールでコミュニケーションスキルを身につける
(と解釈してます)という目的を聞いて、正直何のこっちゃ?
みたいに思った事は今でも覚えてます。

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初日は自己紹介やWONDERING PARTYのあごうさんのお話、
先輩受講生の経験談も聞きました。
先輩方の言っていた『苦労話』は、その時やっぱり何のこっちゃ?
って感じで、難しくなんて全然考えてませんでした。
その後は岡野さんのワークショップやきたまりさん・夏目さんの
身体のワークショップから始まり 、下鴨車窓の田辺さんや
裏方の仕事で劇研の川上さんに、
公演をするにあたって実際に必要となる事を教えてもらいました。

私達『劇団十七番』と名前を決めたのも『ヘブンズサイン』と
演目を決めたのも全て自分達でした。
一言『自分らで決められる』という部分だけをみると
自由というか良い風にしか聞こえませんが、
ここで先輩方がおっしゃっていた『苦労』が登場です。
目的が16人全員の腑に落ちて理解できていたとしても、
きっとこれだけは初めて衝突するところだと思います。

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2010年11月04日

黒岩さんのビギナーズ体験(S35)

久々にお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第35弾は黒岩さんのビギナーズ体験です。
黒岩さんは16期(2009年)のビギナーズ受講生で、
あごうさとしさん演出のジュウゴハリ公演
「動物園が消える日」(唐十郎作)に役者として出演されました。

2009年度ビギナーズユニット受講生の黒岩です。
僕がビギナーズに参加してから約一年が過ぎました。
ここでは、一年前の事を振り返りながら、この文章を書いていこうと思います。
あまり文章はうまく書けませんが、今の僕の率直な言葉で書こうと思います。

今となっては、長いようで短い、約三ヶ月間に渡るこの講座に参加して、
いろんな経験ができて本当に良かったと思っています。

そもそも、このビギナーズを知ったのは約三年前(2007年度)だ。
そこから、その明くる年(2008年度)に受講してみようと思っているうちに、締切。
そこには一歩踏み出せない自分がいた。
そんなこんなしているうちに2009年度の募集が始まった。
今年もこのままもう参加せずにまた締切が来るんだろうなぁ、と思った。
が、ある日、一歩も踏み出せないような、どこか臆病な自分が許せなくなった。
そんな自分を少しでも変えなければいけない!と思って、思い切って応募した。

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僕はこれまでに役者として芝居に出たことはありましたが、
一から芝居を『創る』ということをしたことがなくて、
その点においては本当になにもかもが初の体験だった。
また、一緒にやっていくメンバーともうまくやっていけるかどうかも
すごく不安でいっぱいでした。
僕は口下手だし、人見知りだし、アウェーだし、
自分にとってはさまざまな面で苦手意識がたくさんあった。
でも、みんなで一つの芝居を創るには、そういう自分の中にある、
苦手意識の『殻』を少しずつでも破らないといけない!と、思った。
このビギナーズの機会が絶好の自分の意識改革をするいいチャンスだと思い、
何事にもアグレッシブに挑戦させていただいた。

アグレッシブに挑戦していくと、行き当たる壁がたくさん見えてきた。
「芝居を創るってこんなに難しいのか!」って思った。
日々の体調管理、自主稽古、本稽古、スタッフの仕事、
役者同士の意思疎通、タタキなど、挙げたらキリがないほどやることがたくさんで、
本番までの短い期間でそれら全てをやり遂げないといけない。
全ての面に気を配らなければならない。これはものすごく大変なことだった。

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2010年04月02日

あごうさんのビギナーズ体験(S34)

昨日につづき、【特集】Beginners' Unit Revisited!です。
第34弾は、あごうさんのビギナーズ体験談です。
あごうさんには、14期(2007年)から16期(2009年)の3年間、
演出を担当していただきました。

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[公演データ]
演劇ビギナーズユニット#14公演
演出:あごうさとし(WANDERING PARTY
演出補:大熊ねこ(遊劇体)・河合宏友(WANDERING PARTY)
平成19年(2007年)9月1日・2日(場所:センター創造活動室)
上演作品:ノマド公演「湖のまるいほし」(鈴江俊郎 作)

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[公演データ]
演劇ビギナーズユニット#15公演
演出:あごうさとし(WANDERING PARTY)
演出補:大熊ねこ(遊劇体)・河合宏友(WANDERING PARTY)
平成20年(2008年)8月30日・31日(場所:センター創造活動室)
上演作品:101号室公演「僕の東京日記」(永井 愛作)


視線

もそも私にはみなさんを舞台芸術に導くほどの
力量など備わっていないのだ。
にもかかわらず、切実に希求するあまりにも、
まっさらでまっすぐな視線をむけ、
わたしの胸と脳漿を打ち抜くのである。
なんたる視線。
これほどのはかなくも強くまっすぐな視線を感じることが、
わたしの日常にあるだろうか。
もろく裏付けもなく、触れれば瞬間、瓦解しそうな、
弱々しい群像であるにもかかわらず、
そのおしせまる視線の強さに、
わたしは常に浄化されるのである。
血はめぐり、細胞は活性し、わたしの身体は空洞となって、
水と熱を溜め込んでいくのだ。

世界で一番面白い演劇をつくろう。
そう、素直に思うのである。
時がたち、心にのこっているのはそういうものだ。
現実は色々あったりするのだが、
はずかしげも無くそういうことを書いておきたかった。

                                            あごうさとし


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[公演データ]
演劇ビギナーズユニット#16公演
演出:あごうさとし(WANDERING PARTY)
演出補:大熊ねこ(遊劇体)・河合宏友(WANDERING PARTY)
平成21年(2009年)10月10日・11日・12日(場所:センター創造活動室)
上演作品:ジュウゴハリ公演「動物園が消える日」(唐十郎作)

2010年04月01日

パンダさんのビギナーズ体験(S33)

直近のアップから2か月振りくらいでお届けする、
【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第33弾は、パンダさんのビギナーズ体験談です。
パンダさんは、13期(2006年)から16期(2009年)の4年間、
演出補として、演出担当だったごまのはえさん(13期)とあごうさん14期から16期)、
そして、4年間合計64人の参加者一人一人を支えていただきました。
それでは、パンダさん渾身のビギナーズ体験談です。


この文章を書くのに、とても時間がかかってしまいました。
4年間、私がビギナーズユニットに関わって感じたことや体験したことは、
今この時もまだうまくまとめることができません。
きっとこれは、まだ終わっていないということなんだろうと思います。
終わることはないのだろうとも思います。
それは紛れも無く、私がビギナーズユニットで出会ったみんなと体験した諸々が、
私が演劇に携わっている根源的な理由やモチベーションとも、
普段の生活の中で人と人の中で存在しているこの瞬間とも
ダイレクトに繋がっているということをいつも実感するからです。

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最初に演出補助のお話を頂いたとき、私は30歳を目の前にして、
自分の俳優活動にも人生的にも精一杯で、
あえて後ろを振り向かないようにしながら、
ひたすらがむしゃらに走り続けているその矢先でした。
自分がどうするかで精一杯なのに、
初めて演劇を体験するみんなに伝えられることがあるのだろうか。
漠然とした不安を抱えながらお引き受けしたことを覚えています。

演出補助っていったい何をしたらいいねん?
俳優以外の経験が無い私は、まずそこからのスタートでした。
明確なプランなどない。
とにかく演劇の「経験者」としてわかることからサポートしていこう、それだけ決めて飛び込みました。
もう毎回の講座が血眼でした。
何からサポートしよう?みんなのために何が出来るんだろうか。
4年間、始まりはいつもそれを考えていました。
始終ドキドキしていました。

そして私が迷ったとき、いつも私の立っているべき場所を
教えてくれるのは、受講生のみんなでした。
立ち向かう戯曲や演出によって、また共演者によって課題は違ってくる。
当たり前のことですが、気張らずに、
そこに立ち現れてくるニーズにテトリスのピースのように
はまっていこうといつしか思えるようになりました。

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2010年02月04日

諏訪さんのビギナーズ体験(S32)

久々にお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第32弾は、いちばんホットな16期のビギナーズ体験談
諏訪さんのビギナーズ体験です。
諏訪さんは16期(2009年)のビギナーズ受講生で、
あごうさとしさん演出のジュウゴハリ公演
「動物園が消える日」(唐十郎作)に役者として出演されました。

私にとって演劇は、デートでカップルが楽しむハリウッド映画だった。
ヤルものではなく、見るものだ、ということである。
息づかいが聞こえるほどの距離なのに、客とは全く違う世界にいる。
劇場を出る頃には、役者の誰かに小さな憧れを抱いていたりして
いつもドキドキしていた。

2009年10月、なんと私は「あっちの世界」のドキドキを味わっていたのだ!

そこに至るまでは、長い旅をしているようだった。
「お座敷列車で行く黒潮の旅」みたいな。
めんどうくさくって、まどろっこしくて。でもなぜか楽しい。

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台本決めで行き先だけを定め、細かいプランは
日々の稽古と自主練習で作っていく。
15人も人が集まれば、しかも性格、考え方、
生活時間などてんでバラバラなのだから、意見は対立するわ、
全員揃って練習時間を確保するだけでもひと苦労だった。
元々友達でも家族でもない人たちと、
旅行に行くことだけはすでに決まっているという状態。
相手のことを知ることから始まり、
信頼関係も一から築いていかなければならなかった。
一緒に制作担当となった私たちは、
手探りで意思決定や連絡のためのルールを作った。
不具合が出ると、それはどんどん改められて進化し、新しい役割ができたりした。
普段の私は慎重派で、何事も悩んでいるうちに機を逸しがち。
頭で考えて準備することも大事だけれど、
動き出してから決めていけばいいことも案外多いのかもしれないと思った。
本番が近づくと、稽古や自主練習がどっと増えた。
稽古そのものは楽しくて仕方なかった。
次々に繰り出されるあごうさんの演出も、目からうろこだったし、
自主練習での試行錯誤もいつも時間が足りなくなるくらいに熱中した。
互いに悩んで悩んでなにかを導き出せたときは、
言葉にできない喜びを共有できた。
小さな心配事は山積みだったけれど、
東山に向かう足取りはいつも軽かった。

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2009年11月06日

河合さんのビギナーズ体験(S31)

昨日の高田さんのココロ体験に続いて
久々にお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第31弾は、河合さん(WANDERING PARTY)のビギナーズ体験です。
河合さんは14期(2007年)から16期(2009年)の3年間
演出補助として演劇ビギナーズユニットにかかわっていただきました。


私はビギナーズユニット2007から2008、2009と続けて三度、
演出補助として参加させていただきました。
二十歳の頃にお芝居を始め、演じる側しか経験がなかったものですから、
お話を頂いた時は、演出? 補助? できる? と少し身構えた感じもありました。
しかし、この公演は見ず知らずの10数名の参加者が3ヶ月間の芝居作りを通して、
コミュニケーションとは何なのか、どうすれば良いのか、
また集団が一つにまとまるために何をすべきなのかなどを体験する、
他にはない企画であり、このような集団のお手伝いができるなら
自分自身もとても良い経験ができると思い参加いたしました。
1年目のビギナーズユニット2007の講座がスタートすると、
自分の立場に非常に困惑したというか、
ふわふわとしたどこにも足が付いていないような
微妙な感じでしばらく過ぎて行きました。

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それは、自分がどのポジションに付いて
何をすればこの集団の役に立てるのかつかめなかったからです。
自分は出しゃばらず、演出と参加者の意思疎通の潤滑油になれたら。
お芝居をするのが初めての参加者には、
演出が言う意図が分からないとか、
どう稽古すればいいのか分からない、
それ以外でもいっぱい分からない事が出てくると思い、
そういうところを自分が見つけ、
少しでもみんなの止まっている時間を短くできたらと考えました。
そして、参加者と世間話やお芝居の話をいっぱいしようと
たくさんコミュニケーションを取る事を心がけました。

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2009年04月16日

萩原さんのビギナーズ体験(S30)

久々にお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第30弾は、萩原さんのビギナーズ体験です。
萩原さんは15期(2008年)のビギナーズ受講生で、
あごうさとしさん演出の101号室公演「僕の東京日記」(永井 愛作)に
役者として出演されました。

今でも思い出すのは本番中だ。
あの感覚は忘れられない。
本番中、何も考えていなかった。
唯一注意していたことといえば、セリフをはっきり言うこと、それだけだった。
あとは何も考えていなかった。
けれども、こう動かなければとか、こう言わなければとか考えることなく、
自分の演技はなぜか自然に出てきた。
予定調和のことをやっているにも関わらず、そういう感覚もほとんどなかった。
そして、そんななぜか新鮮な空気のある劇空間にいるのが心地よかった。

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でも、そういう風な感覚を味わえたのにも理由があると思う。
ビギナーズが始まった当初、とにかく自分はいい演技をしようとか、
いい俳優になりたいとか、そんなことばかりを考えていた。
要は自分のことばかり考えていた。

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2009年02月25日

森さんのビギナーズ体験(S29)

引き続きお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!。
第29弾は、森さんのビギナーズ体験です。
森さんは15期(2008年)のビギナーズ受講生で、
あごうさとしさん演出の101号室公演「僕の東京日記」(永井 愛作)に
役者として出演されました。


ビギナーズユニットが終わってから、おおよそ5ヶ月が経ちました。

ああ、もうそんな時間が経ったのだという気持ちと
まだそれくらいしかたっていないのかという気持ちが
ないまぜとなって現在います。
ただ、非常に濃密な時間を過ごしたということだけはいえます。

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公演が終わった直後、達成感は確かにありました。
しかし、これはタイムリミットが設定されているものです。
そこに向けて受講生だった私は懸命に走るだけした。
だからこそ、走りきって、終わって一息ついたとき思ったのは、
本当に自分は全部だしきっていたのかということです。
もっと他のやり方があったのではないかということ。
できる限りその場では、自分なりのベストは尽くしました。
ただ、それはあくまで自分のです。
もっと、全体のことを考えたら
もっとほかのやり方があったかもしれない。
しかし、それをしたらかえって悪いことになるかもしれない。
ずっと迷い、そして結局、いつもの自分の納まりのいいところになってしまったようで、
それが心残りでした。

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2009年01月31日

田中さんのビギナーズ体験(S28)

久々にお届けする、【特集】Beginners' Unit Revisited!
第28弾は、田中さんのビギナーズ体験です。
田中さんは15期(2008年)のビギナーズ受講生で、
あごうさとしさん演出の101号室公演「僕の東京日記」(永井 愛作)に
役者として出演されました。

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演劇ビギナーズユニットに参加して、
みんなで一つの作品を作るだけでなく、
その過程で自分自身の考えを見つめ直す
きっかけにもなったと思います。

私は会社に対する不満ばかりを募らせていた時期に、
何か別のことを体験してみたいと思い、
ビギナーズユニットや他の演劇ワークショップに参加するようになりました。
途中で会社は辞めてしまいましたが、
演劇の創作過程と、会社でよく言われていたことには、
共通する点が多々あるということを見出し、それが意外でした。

「自分の仕事に集中しつつも他の社員や客にも意識を集中させる。」、
「現状で満足せず、より良く改善しなければならない。」、
「客からどう見えているか意識して行動する。」、
「責任を全うする。」、
「自分は伝えたつもりでも相手が理解していなければ言ったことにならない。」、‥‥など、
会社で指摘されていても、いつも同じことばかり言わなくても
理解していると腹立たしく思っていましたが、
演劇という全く別の分野から似たようなことを感じることができ、
重要なことだったのだと改めて気づきました。

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